
過失と責任:基礎知識
過失とは、本来であれば注意を払うべき場面で、注意を怠ったために、相手に損害を与えてしまうことです。これは、わざと損害を与えようとした「故意」とは区別されます。うっかりミスや不注意など、私たちの日常生活の中でも起こりうるものなので、誰にでも関係のあることです。
例えば、自転車に乗って道を走っている時に、ふと景色に見とれてしまい、前をよく見ていなかったために歩行者にぶつかって怪我をさせてしまったとします。この場合、自転車に乗っていた人は、安全に運転するという注意義務を怠ったことになり、過失があったと判断される可能性があります。また、スーパーの床に水をこぼしたまま放置してしまい、他の人が滑って転んで怪我をしてしまった場合なども、こぼした水を拭く、もしくは周囲に注意を促すなどの注意義務を怠ったとみなされ、過失となります。
過失があったと判断されると、損害賠償責任を負うことになります。これは、民事上の責任にあたります。つまり、怪我をさせてしまった場合には、治療費や慰謝料などを支払う義務が生じるということです。さらに、状況によっては、民事上の責任だけでなく、刑事上の責任を問われる可能性もあります。例えば、業務上過失致死傷罪などに問われる可能性も出てきます。これは、仕事中の不注意によって、人身事故を起こしてしまった場合などに適用される可能性があります。
このように、過失は故意ではなくても、注意義務を怠っていれば成立します。そのため、常に周囲に気を配り、注意深く行動することが大切です。日頃から安全への意識を高め、事故やトラブルを未然に防ぐよう心がけましょう。