有配当保険を徹底解説:仕組みとメリット・デメリット
保険について知りたい
先生、「有配当」ってよく聞くんですけど、難しくてよくわからないんです。簡単に説明してもらえますか?
保険のアドバイザー
そうだね。「有配当」とは、簡単に言うと、保険会社が儲かったお金を契約者に分け与える仕組みのことだよ。毎年、会社の決算が終わると、儲けが出たかどうかがわかるんだけど、儲けが出た場合、その一部を契約者に還元するんだ。これが「配当」だね。
保険について知りたい
なるほど。でも、儲けが出なかった場合はどうなるんですか?
保険のアドバイザー
良い質問だね。儲けが出なかった場合は、当然ながら分け与えるお金もないので、配当は無しになるんだ。つまり、有配当の保険に入っていたとしても、必ずしも配当金を受け取れるとは限らないということだね。
有配当とは。
生命保険などの『有配当』という言葉について説明します。『有配当』とは、保険会社が儲けたお金の一部を契約者に分配することです。決算によって金額が確定し、契約者は受け取ることができます。逆に、分配がない場合は『無配当』といいます。『無配当』の場合、保険料は『有配当』よりも安くなります。儲けたお金を分配するかしないかは、毎年決算時に確定します。生命保険には、将来の運用実績などを予測するために、三つの予定利率が使われます。あくまでも予定なので、実際の結果とはズレが生じます。このズレから生じる損益をまとめたものが、分配の元になるお金です。分配方法には、三つの利益の源泉から分配する『三利源配当』、利率の差から分配する『利差配当』、毎年分配する『年配当』、5年ごとに利率の差から分配する『5年ごと利差配当』などがあります。しかし、利益が出なければ分配はありません。『有配当』であっても、分配金がゼロになる可能性もあることを覚えておきましょう。
有配当保険とは
有配当保険とは、加入者が支払う保険料の一部を保険会社が運用し、その運用成果に応じて利益が出た場合、加入者に配当金として還元する仕組みの保険です。生命保険や年金保険などでよく見られます。
加入者が毎月支払う保険料は、死亡保障や医療保障といった給付金の支払いに充てられるだけでなく、将来の支払いに備えるためにも使われます。保険会社は集めた保険料の一部を、株式や債券などに投資して安全かつ着実に運用し利益を生み出そうとします。この運用によって得られた利益から、保険会社運営に必要な費用や将来の支払いに備えるための準備金を差し引いた残りが剰余金となります。この剰余金の一部が、配当金として加入者に還元されるのです。
有配当保険には、将来の収入増加という魅力があります。保険料の一部が戻ってくる可能性があるため、家計にとってプラスとなるでしょう。
しかしながら、配当金は必ずもらえるという保証はありません。株式市場の変動など、様々な要因によって保険会社の運用実績は変化します。つまり、配当金は運用実績次第であり、場合によっては配当金が全くない年もあることを理解しておく必要があります。
また、配当金の額も変動します。好調な年には多くの配当金を受け取れる可能性がありますが、運用実績が振るわない場合は配当金が減ったり、全く支払われないこともあります。配当金を受け取るかどうか、また、どれくらい受け取れるかは予測できないため、将来設計において配当金を確実な収入として組み込むことは避けた方が良いでしょう。
このように有配当保険は、配当金という形で将来の収入増加が見込めるという利点がある一方で、配当金は保証されていないという不確実性を併せ持っています。加入を検討する際は、これらの特徴をしっかりと理解し、自身の状況や将来設計に適しているかを慎重に判断することが大切です。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 保険料の一部を運用し、利益が出た場合、加入者に配当金として還元する保険。 |
保険料の使途 | 給付金の支払、将来の支払いに備えるための積立、運用資金 |
配当金の仕組み | 運用利益 – 費用 – 準備金 = 剰余金 => 配当金 |
メリット | 配当金による収入増加の可能性 |
デメリット | 配当金は保証されておらず、金額も変動する |
注意点 | 配当金を確実な収入として将来設計に組み込まない |
無配当保険との違い
生命保険には、大きく分けて有配当保険と無配当保険の二つの種類があります。この二つの違いを理解することは、自分に合った保険を選ぶ上で非常に大切です。
無配当保険とは、文字通り配当金がない保険のことを指します。あらかじめ保険料と保障内容が契約期間中固定されているため、将来受け取る金額が明確になっています。つまり、毎月支払う保険料と、万一の場合に受け取れる保険金、満期時に受け取れる金額が契約時に確定しているのです。予定外の出費がないため、家計管理がしやすく、着実に資金を準備したい方に向いています。保険料は、将来の配当金の原資を考慮する必要がないため、一般的に有配当保険よりも割安に設定されています。
一方、有配当保険は、保険会社の運用実績に応じて配当金を受け取ることができる可能性があります。将来の経済状況や市場動向によって変動するため、受け取れる配当金の額は確定していません。その為、予定していたよりも多くの金額を受け取れる可能性がある一方、運用実績によっては配当金が少なくなる、あるいは全く受け取れないということもあり得ます。不確実性を伴うものの、将来の収益に期待したい、という方にはメリットがあると言えるでしょう。
このように、無配当保険は確実性を重視する方、有配当保険は収益性を重視する方に向いていると言えるでしょう。どちらが良い、悪いではなく、個々の考え方やライフプラン、経済状況によって最適な保険は異なります。それぞれのメリット・デメリットをじっくり比較検討し、保険の専門家に相談するなどして、ご自身にぴったりの保険を選びましょう。
項目 | 無配当保険 | 有配当保険 |
---|---|---|
配当金 | なし | あり(運用実績に応じて変動) |
保険料・保障内容 | 契約期間中固定 | 配当金により変動 |
将来受け取る金額 | 確定 | 不確定 |
メリット | 家計管理しやすい、予定外の出費がない | 多くの配当金を受け取れる可能性がある |
デメリット | 配当金がない | 配当金が少なくなる、または全く受け取れない可能性がある |
向き | 確実性を重視する方 | 収益性を重視する方 |
剰余金の仕組み
保険会社のお金の残り、つまり剰余金について説明します。家計で例えると、収入から支出を引いた残りが貯蓄にあたりますが、保険会社の場合はこれを剰余金と呼びます。この剰余金は、会社の経営状態の良さを示すバロメーターの一つであり、契約者への配当の原資となる重要なものです。
剰余金が生まれる理由はいくつかあります。まず、予定していた利率と実際の運用で得られた利率の差から生まれる利益、これを利差益といいます。例えば、保険会社が契約時に3%の利率で運用する予定だったものが、実際には4%で運用できた場合、その1%の差額が利差益となります。
次に、あらかじめ想定していた死亡率と実際の死亡率との差から生まれる利益、これを死差益といいます。例えば、保険会社が100人の死亡を見込んでいたのに対し、実際には90人だった場合、その差から生じる利益が死差益となります。
最後に、予定していた事業費と実際に使った事業費との差から生まれる利益である費差益です。保険会社は、集めた保険料の一部を事業費として使用しますが、予定よりも少ない金額で事業運営できた場合、その差額が費差益になります。
これらの利差益、死差益、費差益がプラスになった場合に剰余金が発生し、契約者への配当金として還元される可能性があります。ただし、必ず剰余金が発生するとは限りません。経済状況の悪化などにより、運用実績が良くない場合は剰余金は発生しないこともあります。そのため、配当のある保険は、配当のない保険と比べて、将来もらえる金額が不確実な面があることを理解しておく必要があります。
配当の種類
生命保険の契約者にとって、配当金は楽しみの一つと言えるでしょう。この配当金には様々な種類があり、仕組みを理解することで、より加入している保険の内容を深く知ることができます。代表的な配当金の種類をいくつかご紹介しましょう。
まず、三利源配当は、保険会社の収益である三つの源を基に計算されます。一つ目は、運用実績から生まれる利差益。二つ目は、予定よりも実際の死亡者数が少ない場合に生じる死差益、そして三つ目は、保険会社の事業費が予定よりも少なかった場合に生じる費差益です。この三つをすべて考慮して配当額が決まるため、比較的安定した配当が期待できるでしょう。
次に、利差配当は、利差益のみを配当の原資とする方式です。つまり、保険会社が契約者の保険料を運用して得た利益が、そのまま配当金に反映されます。そのため、経済状況や市場の動向に左右されやすいという特徴があります。
配当の頻度にも違いがあります。年配当は、その名の通り、毎年配当が行われます。一方、5年ごと利差配当は、5年ごとに利差益をまとめて配当する方式です。長期間にわたる運用成果を反映するため、一度にまとまった配当金を受け取ることができます。
どの方式が採用されるかは、保険会社や保険商品によって異なります。また、配当金の額は、剰余金の発生状況や各保険会社の経営方針によって変動するため、将来の配当を保証するものではありません。配当金はあくまで可能性であり、契約時に提示された金額が必ずしも将来受け取れるとは限らないことを理解しておくことが重要です。保険を選ぶ際には、配当金だけでなく、保障内容や保険料なども総合的に判断するようにしましょう。
配当の種類 | 説明 | 特徴 |
---|---|---|
三利源配当 | 利差益、死差益、費差益の3つを原資とする配当 | 比較的安定した配当 |
利差配当 | 利差益のみを原資とする配当 | 経済状況や市場の動向に左右されやすい |
年配当 | 毎年配当が行われる | – |
5年ごと利差配当 | 5年ごとに利差益をまとめて配当 | 一度にまとまった配当金を受け取れる |
有配当保険のリスク
有配当保険とは、契約者に剰余金の一部を配当金として還元する仕組みを持つ生命保険商品です。魅力的に思えるこの配当金ですが、実は保証されているものではなく、様々なリスクが存在することを理解しておく必要があります。
まず、配当金は保険会社の運用実績に左右されます。会社の業績が好調で、予定していたよりも多くの利益が出た場合に剰余金が発生し、そこから配当金が支払われます。しかし、経済状況の悪化や予定外の出来事などにより、運用実績が振るわない場合には剰余金は発生せず、配当金も受け取れません。つまり、配当金は必ずしも受け取れるとは限らないのです。
さらに、配当金の額は変動する可能性があります。将来の経済状況や市場環境の変化によって、保険会社の運用実績も変化するため、配当金の額は増減したり、全く支払われない可能性もあります。契約時に提示された過去の配当実績や将来の見込みはあくまでも参考値であり、将来の支払いを保証するものではありません。
また、一般的に有配当保険は、無配当保険よりも保険料が高い傾向があります。これは、配当金を支払う可能性を考慮して保険料が設定されているためです。もし配当金が少なかった場合、あるいは全く受け取れなかった場合には、結果的に無配当保険に加入した方が保険料の負担が少なく、有利だったということもあり得ます。
このように有配当保険には、配当金が保証されていない、配当金額が変動する可能性がある、無配当保険よりも保険料が高いといったリスクが存在します。保険は長期にわたる契約となるため、将来の不確実性を考慮し、自身の家計の状況や将来設計、そしてどれくらいのリスクを受け入れられるのかをじっくり考え、最適な保険を選ぶことが大切です。専門家に相談するなどして、十分に検討した上で加入を判断しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
配当金の有無 | 保証されていない (保険会社の運用実績に依存) |
配当金額 | 変動する可能性あり (経済状況、市場環境の変化による) |
保険料 | 無配当保険よりも高い傾向 |
リスク | 配当金が支払われない可能性、配当金額の変動、保険料の高さ |
注意点 | 将来の不確実性を考慮、家計の状況、将来設計、リスク許容度を検討 |