損害率と事業費率:収益性のカギ

損害率と事業費率:収益性のカギ

保険について知りたい

先生、「コンバインド・レシオ」って一体何ですか?損害率と事業費率を足した数字だっていうのはわかるんですけど、それが何の役に立つのかよく理解できないんです。

保険のアドバイザー

いい質問だね。コンバインド・レシオは、保険会社がどれだけ効率的に事業運営しているかを示す重要な指標なんだ。簡単に言うと、集めた保険料のうち、実際に保険金や事業運営の費用として使った割合を表しているんだよ。

保険について知りたい

なるほど。つまり、コンバインド・レシオが低いほど、効率的に運営できているということですね?

保険のアドバイザー

その通り!コンバインド・レシオが100%を超えると、保険料収入よりも支出の方が多くなってしまい、赤字になってしまう。だから、保険会社はコンバインド・レシオを低く抑えるように努力しているんだよ。売上高営業利益率のように、収益性を示す指標なんだね。

コンバインド・レシオとは。

保険用語の『合わせた比率』(損害率と事業費率を足した数値)について説明します。これは、簡単に言うと、集めたお金に対して、保険金の支払い費用と事業運営費用がどれくらいかかったかを示す比率です。この比率を1から引いたものを収支残率と言います。将来支払う可能性のあるお金の準備状況は考慮されていませんが、その期の収入と支出から、保険事業の効率性を示すものさしになります。他の事業でいうところの、売上高に対する営業利益の割合と似たような考え方です。さらに、地震保険における合わせた比率は、地震保険の損害率と事業費率を足した数値です。

コンバインド・レシオとは

コンバインド・レシオとは

保険会社の良し悪しを見極める上で、大切なもののひとつに『合わせた比率』というものがあります。これは、保険会社がどれだけうまくお金をやりくりしているかを示す数字です。具体的には、『純粋な損害比率』と『純粋な事業費比率』のふたつを足し合わせたものです。

まず、『純粋な損害比率』とは、集めた保険料のうち、実際に保険金として支払ったお金の割合のことです。この割合が低いほど、保険会社は保険金の支払いを効率的に行っていると言えます。例えば、集めた保険料が100円で、支払った保険金が60円であれば、純粋な損害比率は60%となります。

次に、『純粋な事業費比率』とは、集めた保険料のうち、会社を運営していくための人件費や広告費などに使ったお金の割合のことです。この割合が低いほど、保険会社は無駄な費用をかけずに運営できていると言えます。例えば、集めた保険料が100円で、事業費が30円であれば、純粋な事業費比率は30%となります。

そして、これらふたつの比率を足し合わせたものが『合わせた比率』です。先ほどの例で言うと、純粋な損害比率60%と純粋な事業費比率30%を足して、合わせた比率は90%となります。この合わせた比率が100%より小さければ、その保険会社は利益を出していることを意味し、100%より大きければ損失を出していることになります。つまり、この数字が小さいほど、保険会社は効率的に経営できていると言えます。

ただし、この『合わせた比率』だけで、保険会社の全てを判断することはできません。なぜなら、この数字は、将来の保険金支払いに備えて積み立てているお金のことを考えていないからです。つまり、今の収入と支出だけを見て計算した数字なので、将来起こるかもしれない危険を反映していないのです。

それでも、『合わせた比率』は保険会社の経営状態を知る上で、とても大切な数字であることには変わりありません。この数字を理解することで、保険会社がどれだけきちんと経営しているかをより深く知ることができます。

収支残率との関係

収支残率との関係

保険会社の経営状態を評価する上で、収支残率は重要な指標の一つです。これは、保険会社がどれだけの利益を上げているかを示す割合で、いわば保険会社の利益率に相当します。この収支残率は、コンバインド・レシオと密接な関係があります。

コンバインド・レシオとは、保険料収入に対する、保険金支払額と事業費の合計の割合を示すものです。例えば、保険料収入が100で、保険金支払額と事業費の合計が90の場合、コンバインド・レシオは90%となります。そして、収支残率は、1からコンバインド・レシオを引いた値で計算されます。この場合、収支残率は10%となります。つまり、コンバインド・レシオが低いほど、収支残率は高くなり、保険会社の利益率が高いことを示します。

収支残率が高いということは、保険会社が効率的に事業運営を行い、多くの利益を上げていることを意味します。これは、保険会社が将来にわたって安定した経営を続ける上で重要な要素となります。収支残率が高い保険会社は、より多くの保険金を支払う余裕があるだけでなく、新たな商品開発やサービス向上のための投資にも積極的に取り組むことができます。

しかし、収支残率だけで保険会社の将来の安定性を完全に判断することはできません。収支残率は、当期の収入と支払いを基に計算されるため、将来発生する可能性のある予測できない出来事やリスクは考慮されていません。例えば、大規模な自然災害が発生した場合、保険金支払額が急増し、収支残率が大きく低下する可能性があります。

そのため、保険会社の経営状態を正しく理解するためには、収支残率だけでなく、他の様々な指標も合わせて確認する必要があります。例えば、保険会社の保有資産や負債の状況、将来の収益見通しなどを総合的に判断することで、より正確な評価を行うことができます。収支残率は、保険会社を選ぶ際の一つの目安として、他の情報と合わせて活用することが大切です。

指標 説明 計算方法 評価
収支残率 保険会社の利益率 1 – コンバインド・レシオ 高いほど良い
コンバインド・レシオ 保険料収入に対する費用(保険金支払額+事業費)の割合 (保険金支払額 + 事業費) ÷ 保険料収入 低いほど良い

例:保険料収入100, 保険金支払額と事業費の合計90の場合
コンバインド・レシオ = 90%
収支残率 = 10%

注意点:収支残率は過去のデータに基づくため、将来の予測はできない。他の指標と合わせて総合的に判断する必要がある。

一般事業会社との比較

一般事業会社との比較

保険会社と、商品を売ったりサービスを提供する会社では、儲けを生み出す仕組みが違うため、儲け具合を比べる物差しも違います。よく、商品を売ったりサービスを提供する会社では、売上高営業利益率という物差しを使います。これは、売上から材料費や人件費などの費用を引いた営業利益が、売上のどれくらいを占めているかを示すものです。この数字が高いほど、効率的に儲けを出していると考えられます。

一方、保険会社の場合は、コンバインド・レシオという物差しを使います。これは、保険料収入に対して、保険金の支払いや事務費などの費用がどれくらいかかっているかを示すものです。この数字が低いほど、効率的に儲けを出していると考えられます。つまり、売上高営業利益率とコンバインド・レシオは、どちらも儲け効率を測る物差しですが、計算方法や対象となる費用が違います。

例えば、商品を売ったりサービスを提供する会社は、商品を作ったりサービスを提供するためにかかった費用を、売上が発生した時に合わせて計上します。これを発生主義会計といいます。一方、保険会社は、保険金支払いや事務費などを、実際に現金が動いた時に計上します。これを現金主義会計といいます。会計処理の方法が違うため、単純に売上高営業利益率とコンバインド・レシオを比べて、どちらの方が儲かっているかを判断することはできません。

また、事業内容も大きく違います。商品を売ったりサービスを提供する会社は、商品を売ったりサービスを提供することで直接儲けを生み出します。一方、保険会社は、お客さまから集めた保険料を運用して利益を得たり、保険金の支払いを抑えることで利益を得ます。

このように、保険会社と商品を売ったりサービスを提供する会社では、事業内容や会計処理の方法が大きく異なるため、儲け具合を単純に比べることはできません。それぞれの会社の事業内容や会計処理方法の違いを理解した上で、それぞれの物差しを使って慎重に比べる必要があります。

項目 商品・サービス提供会社 保険会社
儲けの物差し 売上高営業利益率 コンバインド・レシオ
物差しの意味 売上に占める営業利益の割合 保険料収入に占める費用(保険金支払、事務費等)の割合
儲け効率が良い 数値が高い 数値が低い
会計処理 発生主義会計 現金主義会計
費用計上時期 売上が発生した時 現金が動いた時
儲けの源泉 商品販売・サービス提供 保険料運用、保険金支払抑制

EIコンバインド・レシオ

EIコンバインド・レシオ

地震保険の経営状態を測る指標の一つに、EI連結比率というものがあります。これは、地震保険特有の指標で、簡単に言うと、集めた保険料に対して、実際に支払った保険金と事業運営にかかった費用がどれくらいの割合を占めるかを示すものです。

EI連結比率は、二つの要素から成り立っています。一つは、EI損害率と呼ばれるもので、これは集めた保険料のうち、実際に保険金として支払われた金額の割合を示します。もう一つは、純事業費率で、これは集めた保険料のうち、事業運営にかかった費用、つまり事務手続きや広告宣伝などに充てられた費用の割合を表します。この二つの割合を足し合わせたものが、EI連結比率です。

この比率が低いほど、地震保険事業の運営効率が良いことを示します。つまり、集めた保険料に対して、保険金の支払いも事業運営費用も抑えられている状態です。逆に、比率が高い場合は、効率が悪く、経営状態に課題がある可能性を示唆しています。

地震という、いつ起こるか予測できない事象を対象としているため、このEI連結比率は大きく変動しやすい性質を持っています。ある年に大きな地震が発生し、多額の保険金を支払う必要が生じれば、必然的に比率は上昇します。逆に、地震がほとんど発生しなかった年は、比率は低くなります。

そのため、EI連結比率を分析する際は、一時点の数値だけを見るのではなく、過去の推移や将来の予測も踏まえる必要があります。また、地震保険には、将来発生するかもしれない巨大地震に備えて、あらかじめ責任準備金を積み立てておく仕組みがあります。しかし、この責任準備金はEI連結比率には含まれていません。つまり、EI連結比率は、当期の収入と支出に基づいて算出されるため、将来の巨大地震リスクまでは反映されていない指標なのです。

とはいえ、EI連結比率は地震保険事業の収益性を測る上で、非常に重要な指標であることに変わりはありません。この指標を理解することで、地震保険事業の現状をより深く把握し、将来への備えを考えることができます。

まとめ

まとめ

保険会社の良し悪しを見極めるには、財務の健全性を示す様々な数値を理解することが大切です。中でも、保険会社の収益性を測る重要な指標の一つが、組み合わせ比率です。これは、集めた保険料のうち、どれだけの割合が保険金の支払いや事業運営に使われたかを示すものです。具体的には、純損害率と純事業費率の合計で表されます。

純損害率とは、集めた保険料のうち、実際に保険金として支払われた割合のことです。事故や災害が多ければこの数値は高くなり、保険会社の負担が大きくなります。一方、純事業費率とは、集めた保険料のうち、事業運営のために使われた割合のことです。人件費や広告費、事務処理費用などが含まれます。効率的な経営をしている会社ほど、この数値は低くなります。

組み合わせ比率が100%を超えると、保険金の支払いと事業運営費用が保険料収入を上回っていることを意味し、赤字の状態です。逆に、100%未満であれば黒字です。100%から組み合わせ比率を引いた値は、収支残率と呼ばれ、利益の割合を示します。これは、一般の事業会社における売上高営業利益率と似た考え方です。

地震保険に限った組み合わせ比率として、地震保険組み合わせ比率があります。これは、地震保険の損害率と純事業費率を合計したものです。地震保険は、地震による被害が甚大な場合、多額の保険金を支払う必要が生じるため、この比率の変動は特に重要です。

これらの指標は、保険会社の経営状態を評価する上で重要な要素となりますが、将来の保険金支払いや責任準備金の状況は考慮されていません。つまり、将来起こるかもしれないリスクは反映されていないのです。したがって、これらの数値だけで判断するのではなく、保険会社の財務状況全体を総合的に見て判断する必要があります。

保険を選ぶ際には、保険料だけでなく、保障内容やサービス内容も比較検討することが大切です。組み合わせ比率や収支残率といった指標を理解し、保険会社の経営状態を把握することで、より自分に合った保険を選ぶことができます。

指標 内容 計算方法 意味
組み合わせ比率 保険料収入に占める保険金支払と事業運営費用の割合 純損害率 + 純事業費率 100%超:赤字、100%未満:黒字
純損害率 保険料収入に占める保険金支払の割合 (支払保険金)/(保険料収入) 事故・災害が多いほど高くなる
純事業費率 保険料収入に占める事業運営費用の割合 (事業運営費用)/(保険料収入) 効率的な経営ほど低くなる
収支残率 利益の割合 100% – 組み合わせ比率 一般企業の売上高営業利益率と類似
地震保険組み合わせ比率 地震保険の損害率と事業費率の合計 地震保険の損害率 + 地震保険の純事業費率 地震保険の収益性を示す