
保険会社の費差益を理解する
保険会社が利益をあげる仕組みは、大きく分けて三つの柱から成り立っています。その一つが、集めた保険料を運用して得られる運用差益、もう一つが予定していた保険金の支払い額と実際の支払い額の差から生まれる死差益、そして最後に、事業運営にかかる費用から生まれるのが費差益です。
費差益とは、保険会社が事業を行うために必要な費用、つまり事業費の見積もり額と、実際に支払った額との差額のことを指します。簡単に言うと、事業費としてあらかじめ考えていた金額よりも、実際に使ったお金が少なかった場合、その差額が費差益となるのです。
保険会社は、様々な業務を行っています。集めた保険料を運用する資産運用業務、保険金の請求を受け付ける支払い審査業務、新たな契約者獲得のための営業活動や広告宣伝活動、そして会社の運営全般を管理する事務管理業務など多岐にわたります。これらの業務には、当然ながら費用がかかります。人件費や事務用品費、システム維持費、広告宣伝費などが主なものとなります。これらの費用を事業費と呼びます。
保険会社は、将来の事業運営に必要な費用を、過去のデータや将来の予測などを基に見積もります。この見積もった費用を予定事業費といいます。そして実際に事業を行った結果、かかった費用を実際事業費といいます。予定事業費よりも実際事業費が少なかった場合、その差額が費差益として計上されます。
費差益は、保険会社の経営効率を測る重要な指標となります。無駄な費用を抑え、効率的な経営を行うことで、費差益は大きくなります。費差益が大きければ、それだけ保険会社の経営基盤は安定し、加入者への保険金支払いやサービス向上のための原資となります。ですから、費差益は加入者にとっても、保険会社の健全性を知る上で、注目すべき指標と言えるでしょう。