過失

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重過失とは?保険との関係を解説

重過失とは、民法上で扱われる過失のうち、通常の注意を著しく欠いた状態を指します。簡単に言えば、ちょっとうっかりした、というレベルの不注意ではなく、かなり注意が足りていない状態のことです。法律用語ではこれを「軽過失」と区別して「重過失」と呼び、責任の重さが異なります。 では、どの程度注意を欠けば重過失となるのでしょうか。これは、一般の人が通常持つべき注意の程度と比べて、著しく欠けているかどうかで判断されます。例えば、道を歩く際に周りの人に気を配るのは当然の注意と言えます。しかし、歩きながら携帯電話に夢中になり、前をよく見ずに人とぶつかって怪我をさせてしまった場合、周りの状況に対する注意を著しく欠いていた、つまり重過失にあたると判断される可能性があります。 自動車の運転中の例も見てみましょう。運転中は道路状況や周囲の車、歩行者に常に気を配る必要があります。この当然の注意を怠り、携帯電話を操作したり、居眠り運転をして事故を起こした場合は、重過失とみなされる可能性が高くなります。交通ルールを守らなかった、というだけでなく、他人の生命や身体に危険を及ぼす可能性を顧みない行為だったと判断されるからです。 また、故意に危険な行為を行った場合も重過失に問われる可能性があります。例えば、お酒を飲んで正常な判断ができない状態で車を運転し、事故を起こした場合などがこれにあたります。 このように、重過失かどうかは、どれほど注意を欠いていたか、そしてその行為がどれほど危険だったかによって判断されます。重過失による事故の場合、損害賠償の責任範囲が大きくなったり、保険金が支払われない場合もあります。そのため、普段から安全に配慮した行動を心がけることが大切です。
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代位求償:あなたの権利を守る仕組み

代位求償とは、損害を受けた人の代わりに保険会社が加害者に賠償を求める手続きです。少し複雑に聞こえるかもしれませんが、身近な例で考えると分かりやすくなります。 例えば、あなたが信号待ちをしている時に、後ろから追突事故に遭ったとしましょう。この事故であなたの車は修理が必要になり、あなたは加入している自動車保険会社に事故の報告と保険金の請求を行います。すると、保険会社は速やかにあなたの車の修理費用を負担してくれます。これであなたはすぐに車を修理し、元の生活に戻ることができます。 しかし、ここで話は終わりません。事故の原因は、追突してきた相手の不注意でした。そのため、あなたの代わりに保険会社が、事故を起こした相手、もしくは相手の保険会社に対して、支払った修理費用を請求するのです。これが代位求償と呼ばれる手続きです。 もし代位求償という制度がなければ、あなたは相手と直接交渉して賠償金を請求しなければなりません。これは、相手が支払いを拒否したり、交渉が長引いたりするなど、大きな負担となる可能性があります。代位求償のおかげで、あなたは面倒な交渉をすることなく、迅速に損害を回復できるのです。 また、加害者側も、事故を起こした責任をしっかりと負うことになります。さらに、保険会社は代位求償によって支払った保険金の一部を回収できるため、無駄な支出を抑えることができ、その結果として私たちの保険料の安定化にも繋がっているのです。
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過失と責任:基礎知識

過失とは、本来であれば注意を払うべき場面で、注意を怠ったために、相手に損害を与えてしまうことです。これは、わざと損害を与えようとした「故意」とは区別されます。うっかりミスや不注意など、私たちの日常生活の中でも起こりうるものなので、誰にでも関係のあることです。 例えば、自転車に乗って道を走っている時に、ふと景色に見とれてしまい、前をよく見ていなかったために歩行者にぶつかって怪我をさせてしまったとします。この場合、自転車に乗っていた人は、安全に運転するという注意義務を怠ったことになり、過失があったと判断される可能性があります。また、スーパーの床に水をこぼしたまま放置してしまい、他の人が滑って転んで怪我をしてしまった場合なども、こぼした水を拭く、もしくは周囲に注意を促すなどの注意義務を怠ったとみなされ、過失となります。 過失があったと判断されると、損害賠償責任を負うことになります。これは、民事上の責任にあたります。つまり、怪我をさせてしまった場合には、治療費や慰謝料などを支払う義務が生じるということです。さらに、状況によっては、民事上の責任だけでなく、刑事上の責任を問われる可能性もあります。例えば、業務上過失致死傷罪などに問われる可能性も出てきます。これは、仕事中の不注意によって、人身事故を起こしてしまった場合などに適用される可能性があります。 このように、過失は故意ではなくても、注意義務を怠っていれば成立します。そのため、常に周囲に気を配り、注意深く行動することが大切です。日頃から安全への意識を高め、事故やトラブルを未然に防ぐよう心がけましょう。