
旧長期損害保険料の廃止について
かつて、火災や地震といった思いがけない出来事による損害に備える保険の中に、満期になるとお金が戻ってくるタイプの保険がありました。これが旧長期損害保険料と呼ばれるものです。この保険は、十年以上の長い期間契約することが条件で、保障を受けるという本来の役割に加えて、将来のための貯金のような役割も担っていました。
この保険が選ばれていた理由の一つに、計画的に資金を準備できるという点がありました。例えば、家を買う際によく利用される住宅ローンと一緒に、この長期の火災保険に加入する人が多くいました。住宅ローンの返済期間に合わせて保険期間を設定し、満期が来た時に戻ってくるお金を住宅ローンの返済に充てるという使い方が一般的でした。つまり、家を守りながら同時に将来の住宅ローン返済のための資金も準備できるという、一石二鳥の賢い方法として人気を集めていたのです。
また、この保険は、保険料の一部が所得控除の対象となるというメリットもありました。つまり、税金が少し安くなるという特典があり、家計にとって嬉しい制度でした。
しかし、この旧長期損害保険料は、現在では販売されていません。保障と貯蓄という二つの機能を併せ持つ商品として、私たちの生活設計を支えてくれましたが、時代の変化とともにその役目を終えました。現在では、保障に特化した損害保険と、貯蓄を目的とした貯蓄型の保険がそれぞれ独立した商品として提供されています。より目的に合わせた商品選びができるようになったと言えるでしょう。