危険負担

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法律

保険の列挙責任主義:何を守るのか

列挙責任主義とは、保険契約において、保険金が支払われる場合を具体的に書き出す方式のことです。これは、契約書に明示されている事由で発生した損害のみを保険会社が補償することを意味します。言い換えると、列挙されていない事由による損害は、たとえ大きな損害であったとしても、保険金は支払われません。この方式は、契約内容を明確にし、保険会社と契約者の間で認識のずれが生じないようにするための重要な原則です。 例えば、火災保険を考えてみましょう。契約書に「火災、落雷、爆発」と危険が具体的に挙げられている場合、これらの原因によって建物や家財が損害を受けた時には保険金が支払われます。しかし、水害や盗難、あるいは風災といった、契約書に明記されていない事由で損害が発生した場合は、保険金は支払われません。たとえ、火災と同じくらいの大きな被害を受けたとしてもです。 また、地震保険も列挙責任主義に基づいています。地震保険は、火災保険とは別に契約する必要があり、地震や噴火、津波といった特定の事由による損害のみを補償します。そのため、地震によって火災が発生した場合、地震保険では建物の倒壊や損傷を補償しますが、火災による損害は火災保険で補償されることになります。このように、何が補償の対象となるのかを契約時にしっかりと確認することが重要です。契約内容をよく理解しないまま加入してしまうと、いざという時に保険金が支払われず、困ってしまう可能性があります。保険会社が用意しているパンフレットや約款をよく読み、不明な点は担当者に問い合わせるなどして、補償範囲をきちんと把握しておくようにしましょう。保険は、将来起こりうるかもしれない様々な危険から私たちを守ってくれる大切なものです。契約内容を正しく理解し、自分に合った保険を選ぶことが大切です。