
逆ざやの基礎知識
保険会社は、加入者から集めた保険料を大切に運用し、将来の保険金支払いに備えています。この運用において、加入者に対してあらかじめ提示している予定利率を上回る運用益が出た場合、その差額を「利ざや」と呼び、会社にとっての利益となります。
しかし、近年、各国の中央銀行による超低金利政策や市場の不安定な動きなどの影響を受け、予定利率を下回る運用成績となる事例が増加しています。この状態こそが「逆ざや」です。つまり、保険会社が加入者に対して約束した予定利率よりも、実際の運用による利回りが低くなってしまう現象を指します。本来得られるはずの利益が、損失に転じてしまうため、保険会社の経営状態に大きな影響を与える可能性があります。
具体的に説明すると、加入者が毎月支払う保険料の一部は、将来の保険金支払いのための積み立てに充てられます。この積み立てられたお金は、保険会社によって株式や債券などの金融商品に投資され、運用されます。もし、この運用の結果、予定していた利率を上回る利益が得られれば、その差額は保険会社の利益となります。これが「利ざや」です。
ところが、近年のように世界的な低金利の影響や市場の変動によって、予定していた利率を下回る運用成績になってしまうと、保険会社は約束した利率を維持するために、自らの資金を追加で充当しなければなりません。これが「逆ざや」の状態です。
逆ざやが続くと、保険会社の経営は圧迫され、新しい商品の開発やサービスの向上に支障をきたす可能性があります。また、最悪の場合、経営の悪化につながる可能性も否定できません。そのため、各保険会社は、様々な資産への分散投資や、コスト削減など、逆ざや対策に積極的に取り組んでいます。