
分損:知っておくべき保険の基礎知識
災害や事故など、思いがけない出来事で家や車といった大切なものが壊れてしまうことがあります。このような場合に備えて、私たちは保険に入っています。保険の世界では、ものの壊れ具合によって『全損』と『分損』という言葉を使います。『全損』とは、ものが完全に壊れてしまい、直すことができない状態のことを指します。例えば、火事で家が全焼してしまった場合や、車が衝突事故でぺしゃんこになってしまった場合は全損です。一方で、『分損』とは、ものが一部だけ壊れて、全体としてはまだ使える状態のことを指します。例えば、車のバンパーが少しへこんでしまった場合や、家の窓ガラスが割れてしまった場合は分損にあたります。
分損にも、程度によって種類があります。例えば、船の積み荷の一部が水に濡れて使えなくなってしまった場合など、一部だけが損害を受けたものを『単独分損』といいます。また、嵐で船が沈みそうになった時、船を守るためにわざと積み荷の一部を海に捨てることがあります。このような、皆のものを守るために行われた処置によって生じた損害を『共同海損』といいます。共同海損の場合は、損害を受けた人だけでなく、助かった人も費用を負担し合います。
このように、全損と分損の違いを理解することは、保険金を受け取る上でとても大切です。全損の場合は、ものの時価額全額が保険金として支払われます。しかし、分損の場合は、壊れた部分の修理費用だけが支払われます。そのため、自分がどのような状況にあるのかを正しく把握し、適切な手続きを行うことが重要です。保険の内容をよく理解し、万が一の際に慌てないよう、日頃から備えておきましょう。