
厚生年金基金とは?将来への備え
厚生年金基金とは、会社員や公務員などが加入する国民皆年金、老齢年金に上乗せして、会社が独自に年金を支給する仕組みです。いわば、国が用意する年金にプラスして、会社独自の年金制度を設けているようなものです。この制度には二つの大きな役割があります。一つは、国に代わって老齢年金の一部を支給すること。もう一つは、会社の経営状態などを考えて独自に決めた上乗せ分を支給することです。この上乗せ分があるおかげで、会社員や公務員は、国の年金だけでは足りない老後の生活資金を確保しやすくなります。国の年金は全国民共通の制度ですが、厚生年金基金はそれぞれの会社で働く人に特化した制度なので、より柔軟な設計ができます。例えば、会社の業種や従業員の年齢構成などに合わせて、支給額や支給開始年齢などを自由に設定できます。会社にとっては、従業員の福利厚生を充実させることで、優秀な人を採用しやすくなったり、従業員の退職を防いだりする効果が期待できます。魅力的な年金制度を用意することで、長く働いてくれる従業員を増やし、会社の成長につなげることができるのです。また、従業員にとっては、将来の生活設計を安心して立てられるという利点があります。老後の生活資金の見通しが立てば、安心して仕事に打ち込め、生活の質も向上するでしょう。国の年金に会社独自の年金が上乗せされることで、より安定した老後を送れる可能性が高まります。このように、厚生年金基金は、会社と従業員、どちらにとっても良い効果をもたらす仕組みと言えるでしょう。ただし、近年では企業年金基金の加入者数が減少傾向にあります。企業の負担増や運用難など、様々な要因が考えられます。将来にわたってこの制度を維持していくためには、様々な課題を解決していく必要があるでしょう。