エンベディッド・バリュー:保険会社の真価

エンベディッド・バリュー:保険会社の真価

保険について知りたい

先生、「エンベディッド・バリュー」って一体何ですか?難しそうな言葉でよく分かりません。

保険のアドバイザー

そうだね、少し難しいね。「エンベディッド・バリュー」を簡単に言うと、保険会社が今持っているお金だけでなく、将来の契約からもどれくらい利益が生まれるかを予想して、今の価値に換算したものなんだ。例えば、今植えた木の苗が将来どれだけの果物を生み出すかを予想して、今の木の価値を計算するようなイメージだよ。

保険について知りたい

なるほど。将来の利益も今の価値に換算するんですね。でも、どうしてそんなことをする必要があるんですか?

保険のアドバイザー

いい質問だね。保険会社は契約を結ぶ時にたくさんお金を使うけど、利益は後から少しずつ出てくるんだ。だから、今の状態だけで会社の価値を判断するのは難しい。そこで、将来の利益も考えて計算することで、会社の本当の価値をより正確に知ることができるんだよ。

エンベディッド・バリューとは。

保険用語の『埋め込み価値』について説明します。埋め込み価値は、現在の資産価値に、現在契約している保険が将来生み出す利益の現在価値(契約価値)を足して計算します。今の法律で決められた会計では、保険を売った時に一気に費用がかかり、利益は後になってやっと出るので、1年間の成績を評価するには使いにくいところがあります。しかし、埋め込み価値は、契約している保険が将来どれだけの利益を生むかを今すぐ評価するので、法律で決められた会計の足りない部分を補い、会社の成績や価値を評価するのに役立つ指標と言えるでしょう。

エンベディッド・バリューとは

エンベディッド・バリューとは

保険会社の実力を測る物差しの一つに、エンベディッド・バリュー(略してEV)というものがあります。これは、会社が今現在持っている財産の価値を測るだけでなく、将来の契約から生まれる利益についても、今時点での価値に置き換えて評価するものです。つまり、今ある財産だけでなく、将来どれだけの利益を生み出す力を持っているのかも含めて、会社の価値を総合的に判断するための指標なのです。

例え話で考えてみましょう。同じ規模の畑を持つ二人の農家がいるとします。一人は土壌改良や新しい農法の研究に熱心に取り組んでおり、将来大きな収穫を見込めます。もう一人は現状維持に満足し、将来の収穫増は見込めません。どちらも今の畑の広さは同じでも、将来得られる利益は大きく違ってきます。EVはこのような違いを明らかにするのに役立ちます。

EVは、保険会社が現在保有している契約、つまり保険加入者との約束から、将来どれだけの利益が生まれるかを予測し、その価値を計算します。例えば、毎月保険料を支払うタイプの生命保険であれば、将来にわたって保険料収入が見込めます。また、保険金や給付金の支払いが発生する可能性や、事業運営にかかる費用なども考えなければいけません。これらの要素を全て考慮し、将来の収益を現在時点の価値に換算することで、より正確な会社の価値を算出します。

このように、EVは現在時点での財産価値だけでなく、将来にわたる収益力も評価するため、より多角的で長期的な視点から保険会社の価値を測ることが可能になります。同じように見える財産規模の会社でも、将来の利益を生み出す力が大きく異なる場合があり、EVを用いることでその違いを浮き彫りにし、より的確に会社の実力を評価できるのです。

項目 説明
エンベディッド・バリュー(EV) 保険会社の実力を測る指標。現在の財産価値に加え、将来契約から生まれる利益の現在価値も評価。
EVの考え方 将来の利益を生み出す力を含めて会社の価値を総合的に判断。例:将来の収穫増が見込める農家と現状維持の農家の比較。
EVの算出方法 現在保有契約から将来の利益を予測し、現在価値に換算。保険料収入、保険金・給付金の支払、事業運営費用などを考慮。
EVのメリット 財産規模だけでなく将来の収益力も評価。多角的・長期的な視点で会社の実力を評価可能。

計算方法

計算方法

企業価値(EV)を計算するには、主に二つの大切な要素を考え合わせる必要があります。一つ目は、今現在持っている純資産の価値です。これは、会社が所有する建物や機械、現金などの全財産から、借金などの負債を差し引いた金額です。この金額は、会社の今の状態を端的に表す重要な指標となります。例えば、会社の財産が100億円、負債が20億円だとすると、純資産の価値は80億円となります。これは、もし今会社を清算した場合、80億円を手にすることができる金額を表しています。

二つ目は、保有契約価値です。これは、会社が現在保有している契約、例えば保険契約やサービス契約などから、将来に渡って得られると予想される利益を、現在の価値に置き換えたものです。将来得られるお金は、すぐに使えるお金と比べると価値が低いため、この計算が必要になります。例えば、一年後に110万円受け取れる契約があるとします。この場合、利率を10%とすると、この契約の現在の価値は100万円になります。これは、今100万円を利率10%で運用すれば、一年後には110万円になるという考え方からきています。

そして、この二つの要素、純資産の価値と保有契約価値を合計することで、企業価値(EV)を算出します。このように、EVは会社の今の状態だけでなく、将来どれだけの利益を生み出す力を持っているかという点も考慮に入れた、より総合的な会社の価値を示す指標と言えるでしょう。将来の出来事は不確実なので、EVを計算するには将来の利益をどれくらい高く見積もるかといった予測の正確さが求められます。

従来の会計との違い

従来の会計との違い

これまでの会計のやり方と、新しい会計のやり方の違いについて説明します。

従来の会計では、お客さまと契約が成立した瞬間に、契約を取るためにかかった費用をすべて計上することになっています。例えば、営業担当の人件費や広告費などが該当します。一方で、その契約によって得られる利益は、契約期間全体にわたって少しずつ計上されていきます。たとえば、3年間の契約であれば、3年間かけて少しずつ利益を計上していくことになります。

このため、新規の契約をたくさん獲得した年は、費用が一時的に大きく膨らみ、逆に利益は少なくなるため、会社の業績が悪く見えてしまうことがあります。まるで、種まきをした年は収穫がないのと似ています。一生懸命に種をまいて将来の収穫に備えているにも関わらず、目先の収穫がないことをもって評価されてしまうのは、不適切と言えるでしょう。

これに対して、新しい会計のやり方では、将来得られる利益を現在の価値に置き換えて評価します。つまり、将来の利益をどれくらい今すぐ使えるお金と同じ価値があるのかを計算するのです。これにより、契約を獲得するためにかかった費用と、将来得られる利益のバランスをより正しく把握できます。

新しい会計のやり方を用いると、短期的な業績の良し悪しに惑わされることなく、長期的な視点で会社の真の価値を見極めることが可能になります。将来の収益力を含めて考えることで、会社の状態をより正確に評価できるようになるのです。

このように、従来の方法では目先の結果に影響されやすいのに対し、新しいやり方では将来の成長性を踏まえた評価が可能になるため、より実態に即した評価ができると言えます。

項目 従来の会計 新しい会計
契約獲得費用 契約時に全額計上 契約時に全額計上
利益 契約期間全体に分割して計上 将来の利益を現在の価値に換算して計上
新規契約が多い年の業績 費用が先行し、業績が悪く見える 将来の利益を反映し、適切に評価
評価の視点 短期的な業績 長期的な価値
メリット・デメリット 目先の結果に影響されやすい 将来の成長性を踏まえた評価が可能

有用性

有用性

保険会社の真の価値を測る尺度として、埋め込み価値(EV)という考え方があります。従来の会計のやり方では、目先の利益ばかりに目が行きがちで、将来にわたってどれだけの利益を生み出す力があるのかを、見落とすおそれがあります。保険会社のように、長期にわたる契約を取り扱う会社では、将来の収益力こそが、会社の本当の価値を決める重要な要素です。そのため、EVという新しい物差しを使うことで、より正確な評価が可能になります。

たとえば、新しい契約をたくさん獲得することに力を入れている会社を考えてみましょう。このような会社は、短期的に見ると、契約を獲得するための費用がかさみ、利益が減っているように見えるかもしれません。しかし、EVという物差しを使うと、将来にわたる収益力も評価に含まれるため、目先の損得に惑わされずに、適切な評価を受けることができます。

EVは、将来の見通しにくい部分を織り込み、より長い目で会社の価値を評価することができるという点で、従来の会計のやり方を補う重要な指標です。将来の利益を適切に評価できることで、投資家にとっての安心材料となり、会社の経営を安定させる力にもつながります。また、会社の経営陣にとっても、EVは長期的な視点での経営判断を支える羅針盤となるでしょう。会社の進むべき方向をしっかりと見据え、将来を見通した的確な戦略を描くために、EVは欠かせない存在と言えるでしょう。

項目 説明
埋め込み価値(EV)の意義 保険会社のように長期契約を取り扱う企業の真の価値を測る尺度。将来にわたる収益力を評価し、より正確な評価を可能にする。
従来会計の課題 目先の利益に注目し、将来の収益力を見落とす可能性がある。
EVのメリット(新規契約獲得企業の例) 短期的な費用増で利益が減っているように見えても、将来の収益力を含めて評価されるため、適切な評価が可能。
EVのメリット(将来見通し) 将来の見通しにくい部分を織り込み、長期的な視点で会社の価値を評価。投資家への安心材料、経営の安定化に貢献。
EVのメリット(経営判断) 経営陣にとって長期的な視点での経営判断を支える羅針盤となる。将来を見通した的確な戦略策定を支援。

まとめ

まとめ

保険会社を評価する際に、従来の会計指標だけでは将来の収益性を十分に捉えられないことがあります。例えば、一時的な損失によって当期の利益が減少した場合、会社の真の価値が過小評価されてしまう可能性があります。そこで重要となるのが、企業価値、つまり「会社全体の価値」を測る指標です。この指標は、将来の収益力を含めた企業の真の価値を評価する上で、非常に重要な役割を果たします。

企業価値は、簡単に言えば会社の買収にかかる費用の目安です。この指標を用いることで、将来の収益力を現在の価値に置き換えて考えることができます。つまり、将来どれだけの利益を生み出す力を持っているかを、今この時点で評価できるということです。これは、保険会社のように長期にわたる契約を扱う企業にとって、特に重要です。なぜなら、保険会社は将来の保険金支払いに備えて準備金を積み立てておく必要があるからです。将来の収益力が高ければ、それだけ将来の支払能力も高いと判断できます。

企業価値は、投資家にとって企業の将来性を評価する重要な判断材料となるだけでなく、経営者にとっても経営戦略を練る上で役立つ情報を提供します。例えば、企業価値を向上させるためには、どのような事業に投資すべきか、どのような経営改革が必要かなどを検討する際に、この指標が参考になります。このように、企業価値は保険会社に限らず、あらゆる企業にとって重要な指標と言えるでしょう。特に、将来の不確実性が高い現代においては、目先の利益だけでなく、将来の収益力まで見通した企業評価が不可欠です。企業価値は、まさにそのための羅針盤となる指標と言えるでしょう。

項目 説明
従来の会計指標の限界 一時的な損失の影響を受けやすく、将来の収益性を十分に捉えられない場合がある。
企業価値の重要性 将来の収益力を含めた企業の真の価値を評価できる。
企業価値の意味 会社の買収にかかる費用の目安。将来の収益力を現在の価値に置き換えて考えることができる。
保険会社にとっての重要性 将来の保険金支払いに備えた準備金を積み立てる必要性から、将来の収益力の評価が特に重要。
企業価値の利用者 投資家:企業の将来性を評価する判断材料
経営者:経営戦略を練る際の参考情報
企業価値の意義 目先の利益だけでなく、将来の収益力まで見通した企業評価を可能にする。