
けん引車ってどんな車?
けん引車とは、他の車両を引っ張ることを主な目的とした自動車です。大きく分けて二つの種類があり、一つはトレーラーと呼ばれる荷台部分をけん引する『セミトレーラーけん引車』、もう一つは車輪が付いた被けん引車全体をけん引する『フルトレーラーけん引車』です。
セミトレーラーけん引車は、トレーラーの前方を支え、連結部分でトレーラーの荷重の一部を負担する構造になっています。トレーラーの荷重の一部をけん引車が支えるため、安定した走行が可能です。連結部分は、回転軸を中心にトレーラーが自由に動くようになっているため、カーブなどでもスムーズに曲がることができます。車検証の「車体の形状」欄には、「トラクタ」や「ボンネット(トラクタ)」、「キャブオーバ(トラクタ)」などと記載されています。
一方、フルトレーラーけん引車は、被けん引車全体を支える構造です。そのため、連結部分は方向を制御する役割のみを担います。被けん引車は、トレーラーのようにけん引車に荷重を預けるわけではないので、独立したブレーキ装置を備えている必要があります。フルトレーラーけん引車は、主に工場や港湾施設などで、重量物や大型の貨物を運搬するために用いられます。車検証の「車体の形状」欄には、「トラクタ」や「バン(トラクタ)」「コンテナ専用車(トラクタ)」などと記載されることもあります。
けん引車の形状は、運転席の位置や荷台の形状によって分類されます。「ボンネット(トラクタ)」は、運転席の前にボンネットがある形状で、前方視界が広く、整備しやすいという利点があります。「キャブオーバ(トラクタ)」は、運転席の下にエンジンがある形状です。そのため、全長を抑えることができ、狭い場所での運転や小回りが利くというメリットがあります。これらの形状は、運搬する荷物や走行する環境に合わせて選択されます。荷物の種類や量、走行ルートなどを考慮し、最適なけん引車を選ぶことが、安全で効率的な輸送につながります。