脱退一時金とは?退職金との違いや受取方法を解説
保険について知りたい
先生、『脱退一時金』ってどういうお金のことですか?
保険のアドバイザー
いい質問だね。会社などが社員のために積み立てている年金制度から、途中で辞めるなどした場合に受け取れるお金のことだよ。例えば、会社を転職する時などに支給されることがあるんだ。
保険について知りたい
つまり、会社を辞めた時にもらえる年金の一部のようなものですか?
保険のアドバイザー
そうだね、まさにそう。ただし、誰でももらえるわけではなく、勤めた期間などの条件を満たしている必要があるんだ。また、将来もらえる年金額が減ってしまう場合もあるから、注意が必要だよ。
脱退一時金とは。
『脱退一時金』という保険の言葉について説明します。厚生年金基金や会社が運用する年金(確定給付型や確定拠出型)に入っている人が、勤め先を途中で辞めるなどして、その年金制度から抜けることになった時にもらえるお金のことです。ただし、もらえるには一定の条件を満たす必要があります。
脱退一時金の概要
会社を辞めたり、転職したりする際に、これまで積み立ててきた年金資産を一時金として受け取れる制度があります。これを脱退一時金と言います。脱退一時金は、厚生年金基金や確定給付企業年金、確定拠出年金といった様々な年金制度に加入していた方が、その制度から脱退する際に、一定の条件を満たすと受け取ることができるお金です。将来受け取るはずだった年金を、前もってまとめて受け取るようなものです。
この制度は、会社員や公務員など、会社などに雇用されている方が対象となります。自営業やフリーランスで働いている方は、残念ながらこの制度の対象外です。
脱退一時金を受け取るには、いくつかの条件を満たす必要があります。最も重要な条件の一つが、年金制度への加入期間です。厚生年金基金の場合、基本的には5年以上加入している必要があります。5年未満の加入期間では、脱退一時金を受け取ることができません。確定給付企業年金や確定拠出年金の場合は、それぞれの制度によって加入期間の条件が異なります。そのため、自分が加入している年金制度の詳しい規定を確認することがとても大切です。それぞれの制度の規約には、加入期間以外にも、脱退一時金の受給資格に関する詳しい情報が記載されています。
脱退一時金を受け取るか、それとも年金として将来受け取るか、どちらが有利かは、個々の状況によって異なります。すぐにまとまったお金が必要な場合は、脱退一時金を受け取る方が良い場合もあります。将来の年金受給額を重視する場合は、年金として受け取る方が良い場合もあります。それぞれのメリット、デメリットをしっかりと比較検討し、ご自身の状況に合った選択をすることが重要です。また、受け取った脱退一時金の使い道についても、よく考えて計画を立てるようにしましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
制度名 | 脱退一時金 |
概要 | 会社を辞めたり転職したりする際に、積み立ててきた年金資産を一時金として受け取れる制度 |
対象者 | 会社員や公務員など、会社などに雇用されている方 (自営業やフリーランスは対象外) |
対象となる年金制度 | 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金 |
受給条件 |
|
受給の選択 | 一時金として受け取るか、年金として将来受け取るかを選択可能 |
選択のポイント | 個々の状況、将来設計、資金ニーズなどを考慮 |
退職金との違い
会社を辞める時にもらえるお金には、退職金と脱退一時金があります。どちらも退職時にもらえるお金ですが、それぞれ支給の理由や計算方法、税金のかかり方が違いますので、注意が必要です。
まず、退職金は、長年会社に勤めて貢献してくれたことへのお礼として会社から支給されるものです。いわば、会社からの感謝の気持ちを表すお金です。退職金の額は、会社の業績や会社の規則によって違います。会社の業績が良い時は多くもらえることもあれば、業績が悪い時は少なくなることもあります。また、勤めた期間が長いほど、もらえる金額は多くなります。
一方、脱退一時金は、将来もらえるはずだった年金を、退職時にまとめてもらうものです。年金は本来、毎月少しずつもらうものですが、退職時にまとめてもらうことを選び、脱退一時金として受け取ることができます。脱退一時金の額は、年金制度に加入していた期間や、その間の給与の平均額によって決まります。そのため、ある程度事前に計算して、どのくらいもらえるか予想することができます。
税金についても、退職金と脱退一時金は扱いが違います。退職金には「退職所得控除」という特別なルールがあり、税金の負担が軽くなります。長年会社に勤めてきた人ほど、この控除額は大きくなります。しかし、脱退一時金にはこのような控除はありません。そのため、退職金に比べて税金の負担が大きくなる可能性があります。
退職金と脱退一時金を両方もらう場合は、それぞれ金額の計算方法や税金のかかり方が違うことをよく理解しておくことが大切です。退職後の生活設計を立てる上で、それぞれの金額を把握し、税金についても考慮することが重要になります。
項目 | 退職金 | 脱退一時金 |
---|---|---|
支給理由 | 長年の貢献に対する感謝の気持ち | 将来の年金の繰上受取 |
金額決定要素 | 会社の業績、会社の規則、勤続年数 | 年金制度加入期間、平均給与 |
金額の予測可能性 | 予測が難しい | ある程度予測可能 |
税金 | 退職所得控除あり(負担軽減) | 控除なし(負担大) |
受取方法と手続き
退職給付制度の一つである脱退一時金を受け取るには、決められた手続きが必要です。手続きは、以前加入していた年金制度の運営組織に対して行います。退職後、速やかに手続きを開始することをお勧めします。
まず、必要な書類を集めましょう。主な書類としては、脱退一時金請求書、在職証明書、離職票などがあります。これらの書類は、運営組織のホームページから入手できる場合が多いです。もしホームページから入手できない場合は、運営組織に連絡して郵送してもらうことも可能です。書類の内容をよく確認し、正確に記入しましょう。記入漏れや誤りがあると、手続きに時間がかかってしまう可能性があります。
必要書類がすべて揃ったら、運営組織に郵送で提出します。提出前に、書類の不足や記入漏れがないか、もう一度確認することをお勧めします。書類が受理されると、運営組織による審査が行われます。審査には通常1~2か月程度の期間がかかります。審査が完了すると、指定の口座に脱退一時金が振り込まれます。余裕を持って手続きを行いましょう。
脱退一時金の受け取り方には、一時金として一括で受け取る方法と、年金として分割で受け取る方法の二種類があります。それぞれに利点と欠点があるので、よく考えて自分に合った方法を選びましょう。一時金として一括で受け取ると、まとまったお金をすぐに使うことができます。しかし、税金が高くなる場合があるので注意が必要です。一方、年金として分割で受け取ると、税金の負担は軽くなります。しかし、毎月受け取れる金額は少なくなります。どちらの方法が自分に合っているのか、将来の生活設計なども踏まえて慎重に検討しましょう。それぞれの方法について、運営組織に相談してみるのも良いでしょう。
注意点
企業年金制度から脱退する際に受け取ることのできる脱退一時金ですが、受給にあたってはいくつか注意すべき点があります。まず、将来受け取る年金の額面に影響があることを理解しておく必要があります。脱退一時金は、将来受け取るべき年金を前払いするという性質を持っているため、脱退一時金を受け取ると、その分、将来の年金が減額されてしまいます。
次に、税金についてです。脱退一時金は一時所得として扱われ、所得税の課税対象となります。退職金と同じ時期に受け取る場合、所得が増えるため、税金の負担額が大きくなる可能性があります。税金は所得に応じて変動しますので、脱退一時金を受け取る前に、税務署や税理士などに相談し、税額の試算を行うことをお勧めします。また、所得税の負担を軽減するための対策も検討しておきましょう。
脱退一時金を受け取れるかどうかは、加入していた年金制度によって定められた受給資格を満たしているかどうかによります。加入期間や年齢など、制度によって様々な条件が定められています。受給資格を満たしていない場合、脱退一時金を受け取ることはできませんので、事前に加入している年金制度の規約などを確認し、ご自身の受給資格を確かめておきましょう。
最後に、再就職先で新たな企業年金に加入する場合についてです。前の会社で加入していた企業年金から受け取った脱退一時金を、新しい会社の企業年金に移し替える、いわゆる「持ち運び制度」を利用できる場合があります。この制度を利用することで、将来受け取る年金をより多く確保することができますので、再就職先の企業年金制度でこの制度が利用できるかどうか、前もって確認しておくことが大切です。
項目 | 内容 |
---|---|
将来の年金への影響 | 脱退一時金は将来の年金を前払いする性質があるため、将来の年金が減額される。 |
税金 | 一時所得として扱われ、所得税の課税対象。退職金と同時受給で税負担増の可能性。税務署や税理士への相談、税額試算、軽減対策の検討が推奨される。 |
受給資格 | 加入していた年金制度の規約で定められた受給資格(加入期間、年齢など)を満たす必要がある。事前に確認が必要。 |
持ち運び制度 | 再就職先の企業年金に脱退一時金を移し替え、将来の年金を増やす制度。利用可能かは再就職先の企業年金制度による。事前に確認が必要。 |
まとめ
会社を辞めたり転職したりする際に、企業年金から脱退一時金を受け取れる場合があります。これは、将来受け取るはずの年金を先にまとめて受け取る制度です。この脱退一時金について、知っておくべき大切なポイントをまとめました。
まず、脱退一時金は退職金とは全く別のものです。退職金は勤続年数などに応じて会社から支払われるものですが、脱退一時金は年金制度から将来の年金給付を前払いでもらうものです。このため、退職金を受け取れる場合でも、別途脱退一時金を受け取ることができるのです。
次に、脱退一時金を受け取るには一定の条件を満たす必要があります。勤続年数や加入期間など、会社ごとの年金制度の規定によって受給資格が異なるため、ご自身の会社の制度をよく確認する必要があります。また、脱退一時金の受け取り方も、一時金として全額受け取るか、一部を年金として受け続けるかなど、選択できる場合があります。
さらに、税金についても注意が必要です。退職金には税金の優遇措置がありますが、脱退一時金にはそのような優遇措置はありません。つまり、退職金よりも税負担が大きくなる可能性があります。受け取る金額によっては、思っていたよりも手取り額が少なくなる場合もありますので、事前に税額を計算し、確認しておくことが大切です。
脱退一時金を受け取ると、将来受け取る年金額が減ってしまうという点も忘れてはいけません。将来の生活設計に大きく影響する可能性がありますので、慎重に検討する必要があります。
もし、将来の年金をより確実に受け取りたい場合は、年金資産の持ち運び制度、いわゆるポータビリティ制度の活用を検討してみましょう。この制度を利用すれば、転職後も年金資産を継続できます。
最後に、企業年金の制度は会社によって様々です。脱退一時金についても、それぞれの会社の規約によって内容が異なります。不明な点や疑問があれば、会社の年金担当者や専門家に相談することをお勧めします。ご自身の状況や将来設計に合わせて、最適な選択をしましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
脱退一時金とは | 将来受け取るはずの企業年金を先にまとめて受け取る制度 |
退職金との関係 | 退職金とは全く別物。退職金を受け取れる場合でも、別途脱退一時金を受け取ることができる。 |
受給条件 | 勤続年数や加入期間など、会社ごとの年金制度の規定によって異なる。 |
受取方法 | 一時金として全額受け取るか、一部を年金として受け続けるかなど、選択できる場合がある。 |
税金 | 退職金のような優遇措置はなく、税負担が大きくなる可能性があるため、事前の確認が必要。 |
将来の年金への影響 | 脱退一時金を受け取ると、将来受け取る年金額が減る。 |
ポータビリティ制度 | 転職後も年金資産を継続できる制度。 |
相談窓口 | 会社の年金担当者や専門家に相談。 |