死差益:生命保険の剰余金を知る

死差益:生命保険の剰余金を知る

保険について知りたい

先生、『死差益』ってよくわからないんですけど、簡単に説明してもらえますか?

保険のアドバイザー

そうだね。簡単に言うと、生命保険会社が保険料を決める時に、どれくらいの人が亡くなるかを予想して保険料を決めているんだけど、実際には予想より亡くなる人が少ないと、その差額が会社の利益になるんだ。これを『死差益』と言うんだよ。

保険について知りたい

なるほど。つまり、予想より亡くなる人が少なかった時に出る利益なんですね。でも、予想より多くの人が亡くなったらどうなるんですか?

保険のアドバイザー

いい質問だね。その場合は、逆に会社の損失になるんだ。これを『死差損』と言うんだよ。死差益と死差損を合わせて『死差損益』と言うこともあるよ。

死差益とは。

保険の言葉で『死差益』というものがあります。これは、一年間のうちに、保険料を決めるために使った、人が亡くなる割合の予想と、実際に人が亡くなった割合との違いから生まれる利益のことです。死差損益とも言います。生命保険会社が利益を3つの種類に分けたうちの1つです。死差益は、その年の保険料の合計と、実際に亡くなった人へ支払った保険金の合計との差額です。もし、支払った保険金の方が多かった場合は、死差損となります。この死差益の計算方法には、純収支計算方式と統計的方法という2つのやり方があります。

死差益とは

死差益とは

生命保険会社は、契約者が将来亡くなった際に保険金を支払う約束をしています。この保険金は、契約者から集めた保険料を元手に支払われます。保険料を決める際は、将来どれくらいの人が亡くなるかという予測を立てます。この予測に使う死亡の割合を予定死亡率と言います。生命保険会社は、この予定死亡率に基づいて、集めた保険料を運用し、将来の保険金支払いに備えます

しかし、現実の死亡数は、必ずしも予定通りにはなりません。例えば、思いがけない病気の流行や医療技術の進歩によって、死亡数は大きく変わる可能性があります。もし、現実の死亡数が予定よりも少なかった場合、保険会社は予定より少ない保険金を支払うことになり、その差額が生じます。この差額を利益として計上したものが死差益です。

反対に、現実の死亡数が予定より多かった場合、保険会社は予定より多くの保険金を支払うことになり、その差額は損失となります。これを死差損と言います。つまり、死差益とは、予定よりも実際の死亡者が少なかった場合に、保険会社の剰余金に組み入れられる利益のことを指します。

この死差益は、生命保険会社の剰余金における大切な資金源の一つです。剰余金とは、将来の保険金支払いや、会社経営の安定のために積み立てておくお金で、保険会社の経営状態が健全かどうかを示す重要な指標の一つです。死差益が大きければ、それだけ会社の経営基盤は安定していると言えるでしょう。また、この剰余金の一部は、契約者に還元されることもあります。これは、保険会社が予定よりも多く集めた保険料を、契約者に配当金として返す仕組みです。このように、死差益は保険会社の経営と契約者双方にとって重要な要素です。

項目 説明
予定死亡率 将来どれくらいの人が亡くなるかの予測に使われる死亡の割合
死差益 実際の死亡者数が予定より少なかった場合に生じる利益
死差損 実際の死亡者数が予定より多かった場合に生じる損失
剰余金 将来の保険金支払いや会社経営の安定のために積み立てておくお金
配当金 剰余金の一部を契約者に還元するもの

剰余金の三つの源泉

剰余金の三つの源泉

生命保険会社は、事業活動を通じて剰余金を積み立てています。この剰余金は、将来の保険金支払いや事業運営に備えるための重要な資金源であり、契約者への配当金の原資にもなります。剰余金は主に三つの源泉から生み出されます。

一つ目は死差益です。生命保険会社は、統計データに基づいて死亡率を予測し、保険料を算出しています。しかし、実際の死亡者数が予測よりも少なかった場合、その差額が死差益となります。例えば、ある年齢層の死亡率を3%と予測し、保険料を計算していたとします。ところが、健康状態の改善や医療技術の進歩などにより、実際の死亡率が2%だった場合、その1%分の差額が死差益となります。つまり、予定よりも死亡者数が少ないことで生まれる利益です。

二つ目は利差益です。保険会社は、集めた保険料を安全かつ効率的に運用し、利益を得るように努めています。この運用によって得られる収益が、あらかじめ予定していた利率を上回った場合、その差額が利差益となります。例えば、予定利率を年2%として保険料を計算していたとします。しかし、実際の運用で年3%の収益が得られた場合、その1%分の差額が利差益です。つまり、保険料の運用実績が予定を上回った場合に得られる利益です。

三つ目は費差益です。保険会社は、保険事業を運営するために、様々な費用を支出しています。例えば、社員の人件費や事務管理費、広告宣伝費などです。これらの費用が、あらかじめ予定していた金額よりも少なかった場合、その差額が費差益となります。例えば、事業の効率化などによって、予定よりも人件費を抑えられた場合、その差額が費差益です。つまり、事業運営にかかる費用を予定よりも抑えられた場合に得られる利益です。

このように、死差益、利差益、費差益という三つの源泉から剰余金が積み立てられ、保険会社の健全経営や契約者への還元に役立てられています。

剰余金の源泉 内容
死差益 実際の死亡者数が予測よりも少なかった場合の差額 死亡率を3%と予測し保険料を算出していたが、実際は2%だった場合、1%の差額が死差益
利差益 保険料の運用益が予定利率を上回った場合の差額 予定利率を2%としていたが、実際は3%の収益を得た場合、1%の差額が利差益
費差益 事業運営費用が予定よりも少なかった場合の差額 効率化により人件費が予定よりも抑えられた場合、その差額が費差益

死差益の計算方法

死差益の計算方法

生命保険会社は、事業運営において様々な収益を上げています。その中でも、死差益は重要な収益源の一つです。この死差益は、簡単に言うと、契約者が亡くなった際に支払うべき保険金と、実際に支払った保険金の差額から生じる利益です。ここでは、死差益の計算方法について詳しく説明します。

死差益の計算方法は大きく分けて二つの方法があります。一つ目は、純収支計算方式です。この方法は、一定期間における収入と支出の差額から死差益を計算します。具体的には、一年間の保険料収入から、実際に支払った死亡保険金の額を引くことで計算します。この計算方法は、シンプルで分かりやすいという利点があります。例えば、一年間の保険料収入が100億円、死亡保険金の支払いが80億円だった場合、死差益は20億円となります。

二つ目は、統計的手法を用いた計算方法です。この方法は、予定死亡率と実際死亡率の差から死差益を計算します。予定死亡率とは、保険会社が統計データに基づいて、将来どれくらいの人が亡くなるかを予測した数値です。実際死亡率とは、実際にどれくらいの人が亡くなったかを表す数値です。もし、予定死亡率よりも実際死亡率が低かった場合、つまり、予測よりも人が亡くなる数が少なかった場合、死差益が発生します。例えば、ある年齢層の予定死亡率が0.1%、契約者数が10万人、一人当たりの平均保険金額が1,000万円だとすると、予定死亡保険金支払額は100億円です。しかし、実際死亡率が0.05%で、実際の死亡者数が50人だった場合、実際の死亡保険金支払額は50億円となり、50億円の死差益が発生します。

どちらの計算方法を用いるかは、保険会社によって異なります。また、これらの計算方法は、あくまで基本的なものであり、実際にはより複雑な要素が絡み合って死差益が計算されます。例えば、再保険の利用や責任準備金の運用益なども考慮されます。しかし、基本的な考え方は、保険料収入と死亡保険金支払額の差額であることは変わりません。保険会社は、この死差益を適切に管理することで、健全な経営を維持し、契約者への安定した保障の提供を続けています。

計算方法 説明
純収支計算方式 一定期間における収入と支出の差額から死差益を計算。 (保険料収入 – 死亡保険金支払額) 保険料収入100億円、死亡保険金支払額80億円の場合、死差益は20億円。
統計的手法を用いた計算方法 予定死亡率と実際死亡率の差から死差益を計算。 予定死亡率0.1%、契約者数10万人、平均保険金額1,000万円の場合、予定死亡保険金支払額は100億円。実際死亡率0.05%、死亡者数50人の場合、実際の死亡保険金支払額は50億円となり、50億円の死差益が発生。

危険保険料について

危険保険料について

生命保険に加入すると、毎月保険料を支払うことになります。この保険料は、大きく分けて二つの要素から成り立っています。一つは危険保険料と呼ばれ、もう一つは付加保険料です。

危険保険料とは、万一の際に、つまり契約者が亡くなった際に、ご家族などに支払われる死亡保険金に充てられる部分です。いわば、死亡という危険に備えるための純粋な保険料といえます。この保険料は、加入者の年齢や性別、健康状態、そして契約している保険金額などによって一人ひとり異なります。年齢が高い人や健康状態に不安のある人は、死亡する可能性が高いため、保険料も高くなるのが一般的です。また、保険金額が高いほど、必要な危険保険料も高くなります。

一方、付加保険料は、保険会社が事業を運営していくために必要な費用です。たとえば、保険契約の手続きや保険金の支払い、社員の人件費、会社の事務所の賃借料など、様々な費用が含まれています。この付加保険料は、危険保険料に上乗せされて、契約者が支払う全体の保険料となります。

保険会社は、集めた危険保険料をもとに、実際に支払う死亡保険金の額を予測し、その差額を計算します。これを死差益といいます。死差益は、死亡保障に関する部分の利益なので、事業運営費である付加保険料は計算に含めません。つまり、死差益は集めた危険保険料から、実際に支払った死亡保険金を差し引いて計算されます。もし、予測よりも実際の死亡者数が少なかった場合は、死差益はプラスになります。反対に、予測よりも死亡者数が多かった場合は、死差益はマイナスになることもあります。

項目 説明 影響要素
保険料 毎月支払う費用 危険保険料 + 付加保険料
危険保険料 死亡保険金に充てられる部分 年齢、性別、健康状態、保険金額
付加保険料 保険会社運営費用 事務費、人件費、賃借料など
死差益 (集めた危険保険料)-(支払った死亡保険金) 実際の死亡者数と予測の差

まとめ

まとめ

生命保険会社は、契約者から集めた保険料を運用し、将来の保険金支払いに備えています。この保険料には、将来の保険金支払いに備えるための純保険料と、事業運営に必要な費用を賄うための付加保険料が含まれています。純保険料を計算する際に重要な要素となるのが予定死亡率です。保険会社は、過去の統計データなどを基に、将来どれくらいの人が亡くなるのかを予測し、予定死亡率として設定します。この予定死亡率と実際の死亡率の差から生まれるのが死差益です。

もし、予定死亡率よりも実際の死亡率が低ければ、保険金支払額が予定よりも少なくなり、その差額が死差益となります。逆に、予定死亡率よりも実際の死亡率が高ければ、予定よりも多くの保険金を支払う必要が生じ、死差が生じます。つまり、死差益は生命保険会社の剰余金の重要な源泉の一つなのです。

保険会社は、この死差益を将来の不測の事態に備えて積み立て、健全な経営を維持するために活用しています。また、死差益の一部は、契約者への配当金として還元されることもあります。配当金は、契約者にとって加入した保険のメリットの一つと言えるでしょう。

死差益の大きさは、保険会社の経営状態を反映する重要な指標です。各社の決算資料には、死差益に関する情報が公開されています。保険を選ぶ際には、保険料や保障内容だけでなく、各社の決算資料などで公表されている死差益も確認することで、より深く会社を理解し、自分に合った保険を選ぶ助けとなるでしょう。保険会社は、契約者から集めた保険料を適切に管理・運用し、健全な経営を維持していく責務を負っています。死差益は、その健全性を示す重要なバロメーターの一つと言えるでしょう。

項目 内容
保険料 純保険料(保険金支払いに備える部分)+ 付加保険料(事業運営費用)
純保険料の計算 予定死亡率に基づいて算出
予定死亡率 過去の統計データ等に基づき、将来の死亡者数を予測したもの
死差益 予定死亡率と実際の死亡率の差
死差益発生の条件 実際の死亡率 < 予定死亡率
死差発生の条件 実際の死亡率 > 予定死亡率
死差益の用途 剰余金の積み立て、不測の事態への備え、契約者への配当金
死差益の意義 生命保険会社の剰余金の重要な源泉、経営状態を示す指標
保険選びのポイント 保険料、保障内容に加え、死差益も確認