乳がんについて知ろう

乳がんについて知ろう

乳がんとは

乳がんとは、乳腺組織に発生する悪性腫瘍のことです。乳腺は、お母さんが赤ちゃんに授乳するための母乳を作る大切な器官です。この乳腺は、小さな袋状の組織である小葉がたくさん集まってできています。小葉で作られた母乳は、細い管である乳管を通って乳頭へと送られます。つまり、乳腺は、母乳を作る工場のようなもので、小葉が製造工場、乳管が輸送路、そして乳頭が出荷口のような役割を担っています。

乳がんは、この乳管や小葉を覆っている細胞が、何らかの原因でがん細胞に変化し、無秩序に増殖することで発生します。乳管から発生するがんは「乳管がん」、小葉から発生するがんは「小葉がん」と呼ばれ、この二つの種類のがんが乳がんの大部分を占めています。その他にも、乳腺には様々な種類の細胞が存在するため、それらの細胞から発生する稀ながんもあります。

乳がんは、女性に最も多く見られるがんの一つです。男性でもまれに発生することがありますが、圧倒的に女性に多い病気です。乳がんは、早期に発見し、適切な治療を行うことで治癒の可能性が高まる病気です。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要になります。

定期的な乳がん検診を受けることで、自覚症状のない早期の段階で乳がんを発見できる可能性が高まります。乳がん検診には、視触診やマンモグラフィ検査、超音波検査などがあります。ご自身の年齢や健康状態に合わせて、適切な検診方法を選択しましょう。また、日頃から自分の乳房の状態に関心を持ち、セルフチェックを行うことも大切です。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診し、専門医の診察を受けるようにしてください。

早期発見・早期治療によって、乳がんは克服できる病気です。健康な生活習慣を心がけ、定期的な検診を欠かさず、ご自身の身体を守りましょう。

乳がんの兆候と症状

乳がんは、女性の体にできるがんの中で最も多くの人にみられるがんです。初期の段階では、自覚症状がほとんどないことが多く、症状が現れたときには病気が進行している場合もあります。だからこそ、早期発見のための定期的な検診と毎月のセルフチェックが重要になってきます。

乳がんの兆候として最もよく知られているのは、乳房にしこりや腫れができることです。しこりは硬く、表面がごつごつしている場合もあれば、柔らかく、境界がはっきりしない場合もあります。痛みを伴わないことが多く、生理前に一時的に現れるしこりと区別がつきにくいこともあります。そのため、少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。

乳房の皮膚に変化が現れることもあります。例えば、皮膚が赤くなったり、くぼんだり、オレンジの皮のようになることがあります。また、乳房の形が変化したり、乳頭がひっこんだり、分泌物が出ることもあります。これらの症状は、乳がん以外の病気でも起こることがありますが、自己判断はせず、医療機関で検査を受けるようにしましょう。

わきの下のリンパ節が腫れることもあります。リンパ節は、体中の老廃物や細菌などをろ過する役割を担っており、がん細胞がリンパ管を通ってリンパ節に転移すると、リンパ節が腫れることがあります。わきの下にしこりを触れたり、痛みを感じたりした場合は、医療機関を受診しましょう。

これらの症状は、他の病気でも見られることが多いため、必ずしも乳がんとは限りません。しかし、これらの症状に当てはまる場合は、放置せずに、速やかに医療機関を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。早期発見・早期治療が、乳がんの予後を大きく左右します。

乳がんの治療方法

乳がんの治療は、一人ひとりの状態に合わせて、様々な方法を組み合わせた、オーダーメイドの治療計画が立てられます。まず、がんの大きさや広がり、種類、そして患者さんの年齢や健康状態などを詳しく調べます。これらの情報をもとに、最適な治療法が選択されます。

主な治療法としては、手術、薬による治療、放射線による治療があります。

手術には、乳房の一部だけを切除する部分切除と、乳房全体を切除する全摘出手術があります。部分切除の場合、切除した部分の周辺に放射線をあてて、再発を防ぎます。全摘出の場合は、乳房を再建する手術を行うことも可能です。

薬による治療には、抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬など、様々な種類があります。抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑える薬です。点滴で投与される場合や、飲み薬の場合があります。副作用として、吐き気や脱毛、白血球減少などが起こることがあります。ホルモン剤は、女性ホルモンの働きを抑えることで、がんの増殖を防ぐ薬です。更年期障害のような症状が出る副作用があります。分子標的薬は、がん細胞特有の分子を狙い撃ちして、がんの増殖を抑える薬です。副作用は比較的少ないですが、効果が出にくい場合もあります。

放射線による治療は、高エネルギーの放射線をがん細胞に照射して、がん細胞を破壊する治療法です。手術の後に行う場合や、薬物治療と併用する場合があります。副作用として、皮膚の炎症や倦怠感などが起こることがあります。

どの治療法を選択するかは、医師とよく相談して決めることが大切です。治療による利益と、起こりうる副作用、そして患者さんの生活への影響などを考慮して、最適な治療法を選びます。治療中は、医師や看護師と積極的にコミュニケーションを取り、不安や疑問を解消していくことが大切です。

乳がんの予防

乳がんは、女性の命を脅かす病気の一つであり、その予防は私たちにとって重要な課題です。早期発見はもちろん大切ですが、生活習慣の見直しを通して、発症のリスクを下げることも可能です。

まず、食生活においては、バランスの良い食事を心がけることが大切です。野菜や果物、豆類、海藻、きのこなど、さまざまな食品を積極的に摂り入れ、栄養バランスを整えましょう。特に、大豆製品に含まれる成分には、乳がんの予防効果が期待されているという研究結果もあります。また、脂肪分の多い食事は、乳がんのリスクを高める可能性があるため、過剰な摂取は控えましょう。

次に、適度な運動も、乳がん予防に効果的です。激しい運動である必要はありません。毎日、30分程度の軽い運動、例えば散歩や軽い体操などを続けることで、体の代謝が上がり、免疫力も高まります。体を動かす習慣を身につけて、健康的な毎日を送りましょう。

そして、禁煙も重要な予防策です。タバコに含まれる有害物質は、細胞を傷つけ、がんの発症リスクを高めることが知られています。禁煙は、乳がんだけでなく、他の多くのがんや病気の予防にもつながります。また、お酒も飲み過ぎると、乳がんのリスクを高める可能性がありますので、節酒を心がけましょう。

さらに、適正な体重を維持することも大切です。肥満は、乳がんをはじめ、さまざまな病気のリスクを高めます。バランスの良い食事と適度な運動を心がけ、健康的な体重を維持しましょう。

最後に、規則正しい生活を送り、ストレスをため込まないことも大切です。十分な睡眠時間を確保し、心身ともにリラックスできる時間をつくりましょう。ストレスは、免疫力を低下させ、がんの発症リスクを高める可能性があります。

乳がんの予防には、日々の生活習慣の見直しが重要です。上記で挙げた点に気をつけ、健康的な生活を送ることで、乳がんだけでなく、他の病気の予防にもつながります。自分自身の体と向き合い、健康管理に努めましょう。

定期検診の重要性

乳がんは、早期発見と早期治療が極めて重要ながんです。早期に見つけられれば、治る割合が高くなるだけでなく、乳房を残せる見込みも大きくなります。そのためにも、定期的に乳がん検診を受けることを強くおすすめします。

検診の方法にはいくつか種類があります。代表的なものとしては、乳房専用のレントゲン検査であるマンモグラフィ検査と、乳房に超音波をあてて検査する超音波検査があります。これ以外にも様々な検査方法がありますので、医師とよく相談して、自分に合った方法を選びましょう。年齢や体質、過去の病歴などを考慮して、最適な方法を提案してもらえます。

また、医療機関での検診だけでなく、毎月の自己検査も大切です。ご自身で乳房の状態を定期的に確認することで、小さな変化にも気づきやすくなります。お風呂で体を洗う時や、着替えの時などに、乳房にしこりやへこみ、皮膚の変化がないか、左右差がないかなどを確認しましょう。自己検査の方法については、医師や看護師に相談すれば、丁寧に教えてもらえます。パンフレットや動画などで学ぶこともできますので、積極的に情報収集を行い、正しい方法を身につけましょう。

そして、どんなに小さな変化であっても、いつもと違うと感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。「もしかしたら…」という不安な気持ちを抱え続けたり、様子を見たりするのではなく、ためらわずに専門家に相談しましょう。早期発見のためには、ご自身で異変に気づくこと、そして、迅速に医療機関を受診することが重要です。乳がんは早期発見で治癒率が大きく変わるがん。検診と自己検査を習慣づけて、健康な毎日を守りましょう。